タレント性重視だった新民楽グループ

私自身としては、これまで、中国新民楽を追いかけてきたところで、この中国楽器には、新しい音楽を作り出す可能性が大きいことを感じる。
一例をあげれば、ひとつの形として革新的な音楽を造り上げたアーティストである、「常静」がいる。
古筝奏者である彼女は、新民楽発祥の祖といわれる曾格格と馬暁泉のアルバムにも参加し、中国屈指の古筝奏者でもある。
1996年にリリースされた、常静の「離弦」というアルバムには、多くの新しい音楽への可能性を感じ、私個人は、これを、現在の新民楽への大きな可能性を示した一枚と思っている。
常静とダンス・ミュージックのプロデューサーである欧陽永亮によって完成された「離弦」は、電子楽器の斬新な使い方と古筝のエキサイティングかつ繊細な音色が、見事に溶け込んでいる秀作となっている。
リリースされてから、10年が経つ今でも、新民楽の中でトップにあげたい名盤である。